【考察】魚をシメる【長文】


週末となれば釣りへ繰出している我が家ですが、毎回たいした釣果がないので釣れた小魚は氷が入ったクーラーバッグに入れて、いわゆる「氷締め」をしてお茶を濁していました。

しかし、兵庫突堤でサバを大量に釣った時に初めて「サバ折り」に直面し、えらく躊躇しました。

うなよしの時もそうでしたが、生きている物を自らの手で息絶えさせるのがどうも…釣っている時点でそんな事は言えないのですが、これはやはりエゴなんですねぇ。

ごめんよー、と言いながらジタバタするサバの頭を落としていたのですが、ふと

「何でサバだけこんな事しなきゃいけないんだ?アジやらカワハギはしないぞ?」

と疑問が湧いてきて、サバ折について調べてみました。

すると、

「サバの生き腐れ」

という言葉に行き当たりました。

サバは青魚の中でもとくに傷みやすい魚なのだとか。
これはサバの体内に含まれる強力な消化酵素類が原因で、死んだ後も自らの体を消化酵素で分解してしまうそうです。ここに腐敗菌がつくとそれが急速に繁殖するため腐敗が進んでしまいます。
都合の悪い事に、この消化酵素が血液中に多く含まれているんです。だから、釣った後にすぐ折って「血抜き」をしてやる。これが重要みたいです。
サバ折をしないで放置するとクーラーの中で暴れまくって、他の魚も傷つけるし何よりサバ自身の体温が上昇して「身割れ」を起こして美味しくなくなるそうです。

サバを釣ってみて分かった事ですが、本当にむちゃくちゃ暴れるんです。
コンクリートの上でバイブレーションを起こして、ネジ巻式のおもちゃみたいに
「ジジジジジジ…」と動いて、その場で自転するほど小刻みに動いています。

他にも難しい事がいっぱい書いてありましたが、まぁともかく釣ったら早く締めないとダメなわけです。寄生虫も怖いですし。

基本的に魚は釣ってすぐ締めた方が良いのです。

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「センパイ、こんな生意気な奴シメましょうよ」
「おう、生で活きが良い内にシメとけ!」

まぁ、しょうもない駄洒落はおいといて(どうやらシーパラを引きずっている模様)
真サバみたいに波止から釣れる魚は手で折ればしまいですが、もっと大きい魚になるとナイフや専用の道具が用いられている模様。それもこれも、とにかく美味しく魚を食べたいという思いからなのですね。
逆に、イワシやマメアジみたいに小さい魚をいちいち手で締めていたのでは疲弊してしまいます。よってこういった類は、海水に氷を混ぜた「海水氷」で氷締めにしましょう、というのが一般的な考えの様です。

では、締めなかった魚はどうなるの?

釣った後、ぬるい海水の入ったバケツ等で放置する内にいつの間にか
死んでしまった魚、これを

「あがった魚」

と呼ぶそうです。
実際私も食べた事があります。
それは淡路島の佐野漁港で釣ったスズメダイです。
ぬるい海水を入れたクーラーボックスで持ち帰ったらまだ生きていたので、バケツでしばらく泳がせてたんですが、夕方には死んでいました。

それで味噌汁にしてみたんですが…あんまり美味しくなかった…。

今迄スズメダイはまずい魚なんだと思っていましたが、ここに来て処理が
原因だったのではないかと思い至っております。

どうも、弱って苦しんだ上に死んだ魚はストレスや疲労物質、乳酸が回って
不味くなるという説があるみたいです。

9月半ばにも淡路島へサバ釣りに行ってるのですが(別記予定)、この時締め忘れたサバは明らかにぐにゃぐにゃで、頭を落とした時にすごい腐臭が漂っていました。申し訳ないですが、それはさすがに食べられませんでした…。

処理一つでこんなにも変わってしまう魚の食味。
せっかく命を頂くからには、少しでも美味しく頂きたいものです。

ちなみに、「danchu」の公式サイトに紹介されていた「活け締め」「野締め」
についてのコラムが面白かったです。
※「野締め」については地域や文化、人によって意味が違う様です

魚河岸が見物客の前で魚を締めるパフォーマンス、
これからは確かに「見たい」という人の方が減っていくのかも…。
日常生活で目にする魚はおおよそ「切り身」の状態でしょうから。
私も今でこそサバ折りできますが、最初はやっぱり怖かったです。

海外の方にとっても「魚を締める」行為はかなり珍しいみたいですね。
その辺りもコラムに書いてあるので、良かったら見てみて下さい。

長文、お付き合い有り難うございました!