3月半ば、K氏と私の家族とで大山崎にあるサントリーの山崎蒸留所へ
工場見学へ行きました。
本来の目的は大山崎駅前にある国宝の茶室「待庵」を見る事だったのですが、
さほどの感慨もなくあっさり見終わってしまい、
「どうすべか」「ラーメン食べてけぇるか」
という雰囲気になっていた所「そうだ、山崎の蒸留所でも見て行こう」
となったわけです。
見学は時間が決まっていたようで、土日のツアー最終時刻は12時。
何とか滑り込む事が出来、途中合流という形で工場へ。
「仕込み」の過程です。麦芽を砕いたものがここでゆっくり濾過されます。
そうして出来上がるのが「麦汁」
麦汁は次に発酵槽へ移され、ここで酵母を加えられます。
そして、アルコールと炭酸ガス、香味成分が産まれます。
工場内には「もろみ」の独特の香りが立ちこめていて、苦手な人は
ちょっと気分悪くなるかも?な感じです。
発酵槽で出来たもろみはポットスチルと呼ばれる蒸溜釜で、
2回に渡って蒸溜されます。
工場内には形状やサイズの異なる様々な蒸溜釜が並んでいます。
蒸溜釜を使い分けることで、軽快なものから重厚な味わいのものまで
幅広い味の原酒が生まれるのだそう。
二度の蒸留を経た原酒「ニューポット」と呼ばれるウイスキーの元です。
ニューポットは樽に詰められ、長い年月を過ごす事で熟成されます。
こちらは、4年ものです。あの透明な液体が、こんな色合いになるんですね。
同じ原酒でも詰める樽の種類によって味わいの異なるウイスキーに
仕上がるのだとか。
過去にはこの樽倉庫でクラシックコンサートが開かれた事もある
そうです。独特の残響感があるので、どんな音になったのか非常に
興味深いです。
さて、見学もついに大詰め。工場外へ出ると、澄み渡った美しい池と、
そこへ注ぎ込む綺麗な滝が見られます。
これこそ、サントリー「山崎」の源、山崎の名水です。
ここのお水は名水百選の1つに数えられているそうで、茶道を究めた
かの千利休もこの水でお茶を点てたのだとか。
そんな利休の国宝の茶室を見たはずなのに、その記憶はすでに古の彼方、
透き通る水の美しさに感動する事しきりでした。
お待ちかね、試飲タイムです!
ずらりと並ぶ「山崎」と「白州」
山崎のハイボールと、名水を頂きます。
おつまみにスナックとビターチョコが用意されているのも嬉しい。
ウイスキーが出来る迄の過程をざっと見せて頂いた後ですから、実に
感慨深い一杯となりました。
白州との飲み比べの他、ロックでも頂けて十二分にウイスキーを堪能
できます。父もK氏もそこそこ酔ってしまいました。
試飲を以て見学は終了。美人で優しいガイドさんに色々親切にして
頂き、山崎ウイスキー館に移動します。
ウイスキーライブラリーです。バックライトに透けて、綺麗でかっこいいですね。
ウイスキー館では有料でテイスティングも出来ます。
左から「ニューポット」「山崎シングルモイストウイスキー」、そして
「山崎18年」です。
ニューポットは上述のウイスキーの元なわけですが、はっきり言って
めちゃくちゃ不味いです…とても飲めたものでは…。
ここからの熟成が物を言うわけですね。
ウイスキーの善し悪しはよく分からない(というか弱くて殆ど飲めない)
のですが、山崎18年は、何となくまろやかな感じがしました。
3月半ばでしたが、日の当たる場所は結構暖かく、上着を脱いでも
大丈夫な位の陽気でした。
こんな風に外でくつろぐことも。
ちなみに。
こちらが、国宝の茶室である「待庵」が移設された妙喜庵です。
庭を臨む。
中は撮影禁止なので、外観だけでも。
しかし、建物の中は思いのほか底冷えがひどく「1時間程とって
ありますから」と言われたもののここで1時間も、何をすれば…?
困惑する我々は、見る物を見て20分程で退室させて頂きました。
暖かい季節にくれば縁側でのんびり過ごせたのかもしれませんね。
いずれにせよ、地元に程近い場所でありながら一度も訪れた事の
なかった妙喜庵、山崎蒸留所へ赴く事が出来たのは良かったです。